気象予報士試験のバイブル 一般気象学 の個人的感想

3A Atmosphere 大気
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(良い点・悪い点・おすすめポイントなど)

気象学の入門書の代表格『一般気象学』の購入を迷っておられる方に私なりの感想を書いておきます。

気象予報士試験の学習教材としておすすめされる小倉義光先生の『一般気象学』。「気象学のバイブル」とも言われています。

(画像)筆者所有本(第2版1999年ですが、私のものは2014年第23刷となっています。本当にロングセラーですね。)

一般的な本の紹介は出版社(東京大学出版会)などで出回っていますので、ここではあくまで個人的な感想ということで、筆者なりのレビューをしたいと思います。

Amazonなどでレビューもありますので、それらとあわせてご参考になれば幸いです。


バイブル?『一般気象学』の個人的感想

私見を結論から申し上げると、気象学のバイブルですが、気象予報士試験のバイブルかというとやや限定的になると思います。気象予報士試験の参考資料という点では、この『一般気象学』が3分の1、気象庁の気象業務に関する情報が3分の2、というのが私のイメージです。

もちろん、だからといってこの本を軽視するとか、ないがしろにするということでは全然ありません。素人ながら気象学の門を叩いた者にとって、この本は、いわば永遠の旧約聖書であるでしょう。心より尊敬しております。

著者の小倉先生は、この著書を執筆後、気象予報士試験の制度創設に深くかかわられておられますので、全体の枠組み、また、学科一般のテキストとしては、現在、または今後も有用でしょう。

一方、小倉先生も指摘されているように、気象学も気象業務も日進月歩で年々進化しています。

気象予報士試験のフレームワークとしても、もとより学科専門や実技などは気象庁の気象業務について問われる試験の問題構成となっていることに加え、数値予報や予報ガイダンスといった予報精度の向上については気象予報士試験が開始された1994年頃とは隔世の感があるやもしれません。

レビュー(良い点・悪い点・おすすめポイントなど)

『一般気象学』買うべきか否か?


独学にも・補助教材にも役立つ「図表」が豊富!物理や数学が苦手な方にもおすすめ ほぼ必携参考書!? 

管理人評価 ★★★★☆


結論から申し上げると、気象学を学ぶには必携書。

また、気象予報士試験という目的に限定しても、図表が学科一般の出典となっている場合が多いので、できるだけ手元に置いておきたい本です。

少し分かりにくいかもしれないので、もう一度強調しておきますが、この本は、あくまで学問としての気象学の教科書です。

一方、気象予報士試験は、現業としての気象業務についての資格試験です。

もちろん、どちらが上か下かという価値判断をいうものではありません。車輪の両輪のように、学問と実業、どちらも必要なのは当然の話。

ただし、この本の扱いに話を戻すと、気象予報士試験の参考書として、具体的に役に立つのは以下のような箇所かと思います。

(気象予報士試験参考書としての理由)

理由1:図表

理由Ⅱ:予報士試験制度の枠組みに小倉先生が深く関わっているから。

内容は、初学者には難しい部分もあるかと思いますが、私個人としては上の二つの理由で、ご自身で所有されることをお勧めします。

良い点 図表が豊富

まず、気象予報士試験のテキストとしての利用価値という点から個人的な感想を申し上げます。

私自身は、この『一般気象学』の価値は、図表にあると考えます。

記述については、各人、また気象学の学習理解度などの各段階での「諸説あり」かもしれません。

私自身は、始めはお経のようにただ敬服していた文章も、再読を重ねるごとに、なるほどとじわりと浸透してくるような印象を持ちました。

他方、大変不躾ながら、先生の言い回しにはある種のクセなども伺えるようになりました。

もちろん、科学者としての根拠を示したい、また、できるだけ丁寧に解説したい、といった先生のご厚意が土台になっているのだと思います。

しかしながら、口語口調で書かれた本が一般的になってしまった昨今の世ではやや冗長で分かりにくいと思う箇所も感ずるようになりました。

先生は「講義形式で語るように」と意図を述べておられますが、個人的には、教科書なのかそれとも読み物なのか、やや位置づけが曖昧になったきらいがあると思います。

個人的には、無味乾燥であれ、より教科書的な、例えば、図表とデータ、文章は箇条書き、数式だけ、というようなまとめ方が好ましいと考えますが、これは少数派かもしれません。

(私自身も初めは、語り口調という部分にも惹かれましたので。再読の段階に応じて、と上で述べたとおりの「諸説」です。)

ただ、他の気象予報士試験のテキストもいくつか刊行され、より分かりやすいという評判の本もありますが、ではそちらのテキストのみで事足りるか?というと私は否だと思います。

それはひとえに上で書いたような図表の存在。

これらの「二次資料」は、そのまま日本の気象学の基礎となっていますので、どれだけ分かりやすいテキストがでようともその資料的価値は変わりません。

これらが気象予報士試験の元ネタです。そして小倉先生は気象予報士試験の第1回目からの監修をなさった方。つまりこうしたフレームワークが変わらない限り、この本は「バイブル」であり続けるでしょう。

これが個人的に『一般気象学』をおすすめする一番の理由です。

やや誇張表現になるかもしれませんが、現行の気予試の枠組みが大幅に変わらない限りマストバイだと思います。


と言われ、が、では、物理学や数学の知識が必要とされますが、苦手な受験生の方も多いはず。

□まず構成を覚えているか、本を見ないで書いてみる。0805朝
□第1章 太陽系の中の地球
□第2章 大気の鉛直構造
□第3章 大気の熱力学
□第4章 降水過程
□第5章 放射
□第6章 大気の運動
□第7章 大規模な大気の運動
□第8章 メソスケール?
□第9章 ?
□第10章 気候
◆答え合わせ
■第1章 太陽系のなかの地球
■第2章 大気の鉛直構造
■第3章 大気の熱力学
■第4章 降水過程
▼第5章 大気における放射
■第6章 大気の運動
■第7章 大規模な大気の運動
▼第8章 メソスケールの気象
✖第9章 成層圏と中間圏内の大規模な運動
▼第10章 気候の変動


その他の検討ポイント

(個人的レビュー)以下、個人的な感想を述べておきます。

一般気象学 解説

気象学は古くて新しい学問領域と言えるかもしれません。

古くは古代のマヤ文明などに始まるように人間生活と深い関りをもってきました。

他方、日本では気象業務自体は明治期から始まりましたが、力学や熱力学、航空力学などの物理学の知見を本格的に取り入れたのは戦後からとも。また、昭和20年代頃にはまだ新しかった今のコンピューターの前身をいち早く取り入れたのは気象分野でもあります。

この『一般気象学』の著者小倉義光先生は、まさにそうした戦後の気象学に物理学などの科学的知見や裏付けを付加し、より精緻な気象予報などに発展した現在の気象業務の発展を支えた先駆者の一人。

一般気象学を概説する本は他にもありますが、この本はなかでも米国の気象学のエッセンスなどを日本に紹介された労作です。

一般気象学 難しい?

大学生(教養課程)向けのテキストとして書かれているため、専門的な用語も含まれ、歯応えがある印象を持たれるかもしれませんが、一般気象学の概説としては、日本の気象関係者の多くの方がこのテキストで学んだ定評のある本です。

一般気象学 気象予報士試験との関係

この本の内容は、気象予報士試験の学科一般知識のうち気象業務法等の法令以外に相当する部分です。

ちなみに、気象予報士試験の学科専門は、おもに気象庁が実施する気象業務に関すること(気象観測・予報等に関する知識)。実技は気象予報業務の土台となる天気図の解析などの演習となっています。

『一般気象学』で予報士試験の試験科目全体をカバーするものではありませんが、学科一般については、約3分の2程度(15問中10問程度)は、概ねこの本で書かれている範囲ともいえるでしょう。

「一般気象学」の購入について 電子書籍 中古

一般気象学の電子書籍はまだないようです。

一般気象学(第2版補訂版)の中古本はAmazonなどで出品者から購入できます。筆者も中古で買いました。

他方、手放しで礼賛するつもりはありません。

誠に僭越ながら、というお断りを改めて強調した上で、以下、やや小癪な個人的感想を申し述べます。

なお、予め申し上げますが、1つ、素人であること、2つ、総論としては良本として感謝しているという前提でのコメントになりますので、ご了承頂ければ幸いです。

改善要望

これに代わる『新約聖書』が出て欲しい

さて、のっけから挑戦的かもしれませんが、個人的には本当にそう願っています。これは、小倉先生にというより、後進の研究者の方々へのお願いです。

例えば、『気象について分かっていること分ってないこと』のような良本ももちろんありますし、気象予報士試験のテキストとしては以下の本も人気です。

ですが、素人が申し上げるのもなんですが、ここで申し上げたいのは「気象学」の体系全体を概説する、まさに気象学の教科書です。

ここは小倉先生の『一般気象学』という仕事の素晴らしさでもありますが、明治期以来日本でも行われていた気象業務について、主に米国での科学的な知見も踏まえた気象学を日本で初めて体系化して概説した試みがこの著作であるという点。

先生も書かれておられますが、元はイリノイ大学での講義がもとになっているとのこと。

他方、この本が出版されたのは1999年。関係者ご承知のとおり、その後の気象学の進歩は目覚ましく、Himawari8や9などの気象衛星だけでなく、ライダー、メソスケール、さまざまなテレコネクションに関する知見などGSM,MSM,LFMなどの数値予報モデルなども日進月歩です。

気象庁で毎年刊行されている『気象業務はいま』という公刊冊子でも毎年の気象業務については概説されています。ここでも気象業務の体系が読み取れるでしょう。

他方、気象学の面白さ、という点ではどうでしょうか。

私自身、まったくの素人からこの本に接した時、まず印象深かったのが、話しが太陽系から始まるというスケールの大きさ。

小学校の理科の授業など、身近な自然から理解していくという科学的思考の伝統的なアプローチは、今でも学習指導要領などで踏襲されています。

他方、例えばカプリの村山斉先生など、138億年前の宇宙の始まりから思考するという、本来は普通のアプローチは、関係する地学などの領域でも意外と最近になって盛んになってきたものかもしれません。

さて、そんな個人的な印象もあり、小学校理科の天気とは異なる太陽・太陽系から始まるこの『一般気象学』という体系に、個人的にはワクワクしました。そして、そのワクワク感は今でも続いています。

ただ、少し残念なのが、そのあとの改訂がなかなかなされないこと。これは、私が申し上げるのも僭越ながら、小倉先生の後進の方々に託されたバトンなのでしょう。

気象庁の気象業務では、上位目標は、防災、産業、そして世界の気象業務の国際協力という3本柱となっています。こちらは実務という点で精緻を極める、いわば地に足の着いた「身近なところから」のアプローチの極致。

一方で、気象学というサイエンスとしては、個人的には、太陽・太陽系だけでなく、例えば「宇宙の天気」などの最新の宇宙科学なども網羅した気象学の体系を期待したいと思います。

(参考)宇宙の天気予報

各論 章立てについて

さて以下はこの本で個人的に気になる「順序」について申し上げます。

個人的には、力学関係の章は一気通貫でまとめて頂きたいと思いました。

具体的には、

結論から申し上げると、私見としては以下の流れに章立てを再構築して頂きたいと考えます。

第1章 太陽系のなかの地球

第5章 大気における放射

第2章 大気の鉛直構造

第6章 大気の運動

第7章 大規模な大気の運動

第8章 メソスケールの気象

第9章 成層圏と中間圏内の大規模な運動

第10章 気候の変動


(参考)気象予報士試験の参考書など

もちろん、『一般気象学』以外にも、気象予報士試験の参考書などは他にもたくさんあります。

詳細はAmazonなどでご覧いただけますので、ご興味あれば参考になさって下さい。

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気象予報士試験の参考書など

(一例)書名のみ

らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト学科・一般知識編

図解・気象学入門 原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図 (大木勇人)

総観気象学入門 (小倉義光)

最新天気予報の技術: 気象予報士をめざす人に (新田尚)

新田尚

イラスト図解よくわかる気象学 (中島俊夫)


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