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太陽の概観 太陽は何でできているか

太陽

太陽は何でできているか(太陽の構造)?

太陽エネルギーがどのように発生しているか(太陽エネルギー)?

太陽エネルギーの地球大気への伝わり方は(電磁波)?

など、太陽についての素朴なギモンはつきない。

ここでは、そんな太陽に関する基本的なことがら(事象)を概観する。

太陽エネルギーはどこでつくられるか?

(図表)Kelvinsong – Diagram of the Sun(日本語:筆者仮訳), figure: Diagram of the Sun By Kelvinsong – Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php? , adopted by AY (translate in Japanese)

太陽エネルギーはどこでつくりだされるのだろうか。

答えは太陽の中心部(太陽核)。

具体的には、太陽核(Solar core)で核融合によって太陽エネルギーがつくりだされている。地球の大気運動の源は、もとをたどれば太陽核から始まるといえる。

(もちろん、大気だけでなく、地球上の生命や生物、そして、地球だけでなく太陽系の他の惑星の源でもあるが、ここでは気象予報士試験の学習を念頭に置いているので、これに必要な範囲でメモしておく。)

太陽エネルギーはどのように伝わるか?

 さて、太陽核でつくられた太陽エネルギーはどのように伝わっていくだろうか。その太陽のメカニズムも簡単におさえておこう。

太陽は巨大なガス球

「太陽は巨大なガス球」(小倉,1999)

ひとことでいえば、これが太陽のメカニズムのイメージともいえる。以下、具体的な伝わり方をなるべく簡単にまとめておきたい。

太陽核(英語 Solar core)

☐0 中心部:太陽核(Solar core)

太陽核(Solar core)、核融合、太陽エネルギー

:太陽核(Solar core)で核融合によって太陽エネルギーがつくられる

放射層(英語 Radiative zone)

>1 放射層(Radiative zone)

:太陽エネルギーが放射される(放射層の形成)

対流層(英語 Convective zone)

>2 対流層(Convective zone)

:放射された太陽エネルギーが対流層に伝わる

光球(英語 Photosphere)

>3 光球(Photosphere)

:対流層から対流により光球に伝わる。光球は太陽の表面。太陽から地球にとどく太陽エネルギーのほとんどは、この光球から放射されている。

:なお、地球にとどく太陽エネルギーの形は、電磁波(でんじは、英語 electromagnetic wave)である。※

:光球の厚さは数百km。厚さは300~500km。

(東京から小山、銚子が約100km。数百kmはだいたい東北―盛岡辺り?)

:中心部から光球まで(ほぼ太陽の半径)は、約7×10^5km。

:光球の温度は、およそ6,000K。Kは絶対温度。K=℃(摂氏温度)+273.15°

※光球について(詳しい説明):

光球(こうきゅう、Photosphere)とは、ひとことで言うと、みなさんが見ている太陽である。(左のイメージ)

光球は、肉眼や写真で観察される太陽表面。

光球(光球層)とは、太陽表面の大気層。光球から、宇宙空間への太陽エネルギーの光の大部分が放射される。

光球の内側で、始めは太陽核でつくられた太陽エネルギーの光は、光球層で吸収される。また、光球より外側(彩層やコロナ)の光は非常に弱い。そのため「太陽エネルギーの光の大部分が光球から放射される」という。

(特徴)

:見え方

:ガス体にもかかわらず太陽の周縁はくっきり区画されて見える。

:中央部が最も明るい

:周縁にいくにつれて暗く見える(周縁減光)。

:黒点や白斑などの局部的現象がここに現れる。→粒状斑

:厚み・大きさ

:厚みは、超巨星を除いて、星の大きさに比べて小さい。

:太陽では約500キロメートルで太陽半径の約0.06%にすぎない。

:厚さ約四〇〇キロメートルのガス体

:温度

:平均温度は約六〇〇〇度K

:密度

:平均密度は地表付近の大気の一万分の一程度

:放射

:光球の温度が高いと紫外線をおもに放射し、低温の場合は赤外線を放射する。

:理論的には連続スペクトルの光を出す部分の最外側にあたる。

:放射エネルギーの吸収・放射に関与している原子:おもに負水素(中性な水素に電子1個が加わり負の電荷を帯びたイオン)。

:その他

:なお、太陽と同じように、他の恒星でも同じ部分も光球という。

彩層(英語 Chromosphere)

>4 彩層(Chromosphere)

:彩層(さいそう)とは、光球とコロナの間(太陽の光球の外側、コロナの内側)に位置する薄いガスでできている層(そう)。

:彩層:厚さ約2,500km。

コロナ(corona)

>5 コロナ(corona)

:太陽の最上層。

:コロナ (Corona) とは、太陽表面の一番外側にある電離したガス層。太陽の周りに見える自由電子の散乱光。

太陽風(solar wind)

>6 太陽風(solar wind)

:彩層から絶えず出ているきわめて高温(10^6K)で電離した粒子が四方八方に噴出しているもの。現在の地球大気の形成に大きな役割。

電離とは「電気解離」の略

液体・気体の分子や原子が、荷電した原子(団)となること。

イオン化。

酸・塩基・塩類が水にとける時、分子の一部がイオンに分解すること。

でんり【電離】
《名・ス自》「電気解離」の略。
液体・気体の分子や原子が、荷電した原子(団)となること。
酸・塩基・塩類が水にとける時、分子の一部がイオンに分解すること。イオン化。

自由電子

自由電子(じゆうでんし, 英: free electron)とは、原子核から遠く離れてるため、束縛されずに自由に動ける電子のこと。ポテンシャルがいたるところでゼロとも、電子気体(フェルミ気体)とも呼ばれる。

光散乱(ひかりさんらん)とは、光を物質に入射させた時、これを吸収すると同時に光を四方八方に放出する現象をいう。

(その他は図を参照)

太陽の構造

図 1.1 太陽の構造を示す断面図

1. 太陽核 Core 
2. 放射層 Radiative zone
2a. タコクライン Tachocline
3. 対流層 Convective zone
4. 光球 Photosphere 
5. 彩層 Chromosphere
6. コロナ Corona
7. 黒点(太陽黒点) Sunspot
8. 粒状斑 Granule
9. 紅炎 Solar Prominense

(その他図参照)

太陽と電磁波

 上でふれたとおり、太陽エネルギーの多くは電磁波で放射される。ここでは、電磁波に着目して、少し掘り下げて見ていく。

太陽の電磁波の波長は短いか長いか?

 太陽の彩層やコロナの底から電磁波が放射されている。 この電磁波は波長が短い。X線(エックス線)を含めて波長が0.1μm(ミクロン)より短い。

太陽の電磁波は地表に到達するか?

 この短い電磁波は、地表には到達しない。なぜなら、地球大気の上層(90~200km)で吸収されてしまうからである。この太陽エネルギーの電磁波の吸収については、大気の鉛直構造の科目のうち、電離層(でんりそう)で詳しくふれる。

太陽放射とは? 日射や、電磁波との関係は?

 太陽放射(たいようほうしゃ)とは、日射(にっしゃ)のこと。太陽が出す放射エネルギー、とくに電磁波の放射を指すことが多い。つまり、全部同じもの。

電磁波と電波

電磁波とは
電磁波とは、電場と磁場を変化させながら進んでいく波のこと。

電磁波の速さは、真空中では 299792458 m/s ≒ 3.0×108 m/s です。

水中では 約2.3×108 m/s です。真空中での速さを水の絶対屈折率 約1.333 で割ると導き出せます。

また、電磁波は粒子的側面と波動的側面を両方併せ持ちます。しかしこれらのことは高校物理では学びません。大学に行ってからです。

電波(英語 Radio wave)とは?(こらむ)

電波(でんぱ)とは

:赤外線より波長が長い電磁波。普通は、ラジオ・テレビ放送など電気通信に使うものを言う。

電磁波の種類

(図)電磁スペクトルの特性図。種類、波長とその例、振動数、黒体放射温度。NASA画像 EM_Spectrum3-new.jpgを元に作成
Inductiveload, NASA. Translation by t7o7k – Translation from English version

電磁波の種類は何によって分類されるか?

電磁波は波長によって分類される。

様々な分類があり、呼び名・用途が異なる。

長波からサブミリ波までを電波といいます。

波長の長い電磁波は回折しやすく、多少の障害物は乗り越えることができ、遠くまで届きます。

紫外線、X線、γ線、の波長については参考書によってさまざまな数値が書いてあり、またそれぞれの波長の境界の明確な線引きはないようです。

どっちが長い? 電話?光?X線?ガンマ線?電波?

答え:電話 >電波 > 光 > X線 > ガンマ線

波長の長い方から電波・光・X線・ガンマ線などと呼ばれる。
(ウィキペディア)

#電話の波長:

波長(英語 wavelength)

:波長(はちょう、英: wavelength)とは、空間を伝わる波(波動)の持つ周期的な長さのこと(ウィキペディア)

電波

波長が 100 μm 以上(周波数が 3 THz 以下)の電磁波すべてを指す。波長域によって低周波・超長波・長波・中波・短波・超短波・マイクロ波と細分化される。

波長が 1 mm から 2 nm (0.000002 mm) 程度のものを指す。

波長域によって赤外線・可視光線・紫外線に分けられている。

た、「光」という言葉を使うとき、可視光線だけを意味するときと、赤外線、可視光線、紫外線の3つを意味するときと、さらに電磁波全部を意味するときがあるので注意が必要です。日常生活で「光」といえば可視光線だけを意味することが多いと思います。

上の表を初めて見た方は意外に思うかもしれませんが、日常生活における光(可視光線)や、電波や、放射線は、全て電磁波の一種であり、ただ波長が違うだけのものです。

携帯電話は数10cmの波長の電磁波を送受信するものですし、人間の目はそれの100万分の1くらい(7.8~3.8×10-7m)の波長の電磁波を感知します。

波長が7.0×10-7mくらいの電磁波を人間は「赤」と感じ、

波長が4.5×10-7mくらいの電磁波を人間は「青」と感じます。

人間は目で感知した電磁波を脳で処理して風景として認識するのです。

X線、ガンマ線

波長が 10 nm 以下のものをX線、さらに短い 10 pm 以下のものをガンマ線と呼ぶことも多い。元々は、X線は電子励起(及び制動放射等の電子由来の機構)から発生する電磁波、ガンマ線は核内励起から発生する電磁波というように発生機構によって区分けされている。

cf.「周波数の比較」および「電波の周波数による分類」励起電子(れいきでんし、Electron excitation)とは高いエネルギーで運動している状態の電子である。

可視光線

0.77㎛~0.38㎛

全放射線の半分は可視光線

マイクロメートル(micrometre, 記号µm)は、国際単位系 (SI) の長さの単位である。 マイクロメートルはメートルにSI接頭辞のマイクロをつけたものであり、1 マイクロメートルは10−6 メートル (m) に等しい。 よって、0.001 ミリメートル、1000 ナノメートル とも等しい。

紫外線

可視光線より僅かに波長が短い紫外線は「紫の外」という意味。

可視光線はその波長の長さによってさらに細分化され、波長が長い方から順に、赤→橙→黄→緑→青→藍→紫、となっています。(この順番は一応覚えておいた方がいいです。『光の分散』項参照)。

赤外線

:電磁波のうち光より周波数が低いもの。光としての性質を備える電磁波のうち最も周波数の低いものを赤外線と呼ぶが、それよりも周波数が低い。

可視光線より僅かに波長が長い赤外線は「赤の外」という意味。

X線

まとめ

太陽の概観めも:

☐太陽エネルギーはどこでつくられるか:太陽の中心部(太陽核)核融合によって太陽エネルギーがつくられる。
☐太陽エネルギーはどう伝わるか:放射の形でに伝わる

太陽の構造めも:

太陽は巨大なガス球
太陽核(英語 Solar core)
放射層(英語 Radiative zone)
対流層(英語 Convective zone)
光球(英語 Photosphere)
彩層(英語 Chromosphere)
コロナ(corona)
太陽風(solar wind)

太陽と電磁波めも:

太陽エネルギーの多くは電磁波で放射

参考文献

小倉義光『一般気象学』, 1999 (第2版,第23刷2014), 東京大学出版会

気象庁,

ウィキペディア,他

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