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防災 BOSAI bousai の英語 Disaster Emergency Management

□ 防災は「BOUSAI」か「BOSAI」か?(ローマ字 vs 国際的名称)
□ 防災の英語は?(日本語:防災 bousai / BOSAI vs 英語)
“Disaster Management” vs
“Emergency Management” vs
“Disaster Risk Reduction(DDR)” ?
防災の英語は、実は昔から関係者を悩ませてきたネタもとい悩みの種もあります。
ここでは、個人的な見解とお断りした上で、これらの翻訳についてメモしておきたいと思います。

はじめに:防災は”BOUSAI”か”BOSAI”か?

結論から申し上げると、どちらでもよいようです。

例えば、
BOUSAIの表記は内閣府防災情報のページ(http://www.bousai.go.jp/)などが代表例。

一方、
BOSAIという表記は国際機関(世銀等)や国土交通省やNHKなどの報道など。

e法令などで法令翻訳なども可能な範囲で調べてみましたが根拠は見つかりませんでした。よって、明確に定まっていないようです。

BOSAI(防災)の英語

もう少し詳しくふれておくと、2000年代まではそもそも防災をローマ字で記載する慣行はまれでした。

個人的な体験ながら、1990年代頃から仕事がら防災を海外の人に説明する機会に出くわしました。

この記事でふれているように、英訳で悩んだ記憶があります。

防災を直訳(Disaster prevention)すると「災いを防ぐ」つまり「避難」と同じ意味で捉われてしまうこともある。しかたないのでやや意訳でも英語圏で使われている Disaster Emergency Managementと英訳するか。など翻訳に苦慮したものです。

2010年代以降、(2011年3月11日の東日本大震災災などの影響や国際的な日本ブームなどが背景と思われますが、)日本語のローマ字表記が国際社会でも少しずつ認知されてきた潮流から、国際社会や国際機関などでも防災をそのままローマ字表記(BOSAI)とすることが通例になってきたと思われます。

基本的には2010年代後半以降は、BOSAIなどで通じる機会も増え、仕事の手間は減ったのでありがたい限り。

(その意味ではこの記事はほぼ過去記事のようなもので用済みのきらいもあります😅。ただ、いくら日本ブームの追い風とはいえ、まだまだ日本語が世界の隅々まで通じるとは限りません。例えば、アフリカなどで活動する方は、”BOSAI”といってもキョトンとされるシーンもあるでしょう。そういうときは”SENDAI”などで切り抜けるというサバイバル英語という手もありますが。やはり、できれば英語で説明できるようにもしておかれるとよいですよね。そんなささやかなニーズのために老婆心ながらメモしておく次第です。)

「防災」の一般的な英語(翻訳)

まず、一般的な訳語をご紹介いたします。
防災(Bosai)の英語(1):
Disaster management
(使用例)内閣府など
こちらが一般的なようです。
防災の英語(2):Emergency management
(例)Wikipedia

これは、Disaster management で英語版Googleを検索すると表示されるWikipediaのページ。このEmergency managementのページが、日本語版ウィキペディアの「防災」にリンクされています。

(私見ですが、つまりDisaster mangementとほぼ同義に近いのかと思います。この2つは個人的にどちらを使ってもよい気がするのですが、もしどちらが一般的かと問われれば、個人的にはDisaster Managementのほうが通りが良いのだろうと解釈します。)

防災の英語(3):Disaster Risk Reduction(DRR)

(例)国連防災会議、等
ここが少々悩ましいところです。防災関連の国際会議などではDRRはほぼ基本用語として定着もしており、専門家の間ではこれで良いのでしょう。

ただ、一方で、内閣府も、Disaster Managementを使用されているように、一般的にはDisaster Managementといった方が良いのか、この辺で迷います。

さっと、違いを調べたところでは、英語版Googleの検索結果からは以下の例が上位に挙げられていました。

簡単にいうと、Disaster Management > Disaster Risk Reduction(DRR)、すなわち、Disater Risk Reduction(DRR)はDisaster Managementの一部、とネイティブの方にも捉えられている様です。

Disaster Management refers to the means that will be taken in the event of a disaster — so if the disaster occurs and the prevention didn’t help, disaster management is using the prepared tools and methods to reduce the damage itself and its effects. Disaster Risk Reduction is part and parcel of Disaster Management.
What is the difference between disaster risk reduction and …
*ttps://www.quora.com/What-is-the-difference-between-disaster-risk-reduction-and-disa…

notes : Gooogle result searched by “Disaster Risk Reduction disaster management difference” 20190127

防災に関する法令・制度

次に、法令関係を確認しておきます。

「防災関連法」などは俗称?

なお、概念上はもちろん法令が上位ですが、社会通念上での一般的な翻訳の話を上に記載しました。順序が後先になったきらいもありますが、この点はご容赦ください。

「防災」の文言は「地震防災対策」関連法令のみ

防災の関連法案で「防災」の文言が使用されているのは「地震防災対策」関連法令のみ。

まず、この点を共有しておきたいと思います。

私見

以下は余談になります。翻訳ノートのようなものですので、あくまで個人のブログとしてご笑覧くだされば幸いです。

「BOSAI」ではダメなのか?

最近のCool Japanの恩恵もあり、日本人としてはできるだけBOSAI,GENSAIを世界に広めたいところかもしれません。自分も結論はそこではあります。

ただ、現実的には、Google英語版でBOSAIで検索しても、まだ検索結果は「About 1,120,000 results (0.77 seconds) 」ですので、そこは時期尚早のようです。

私ももうBOSAIとだけ書いとけばいいか、とちらと思っていたのですが希望的観測でした。

というわけで、上で書いたように、BOSAIの英語はやはり知っておかねばならない、といえそうです。

防災と減災の訳し分け:個人的な意見(折衷案)

もし、防災をさらに、「防災」と「減災」で訳し分けたい場合。
(ここはどちらかというと、翻訳、もしくは日本語の話かもしれませんが、)

筆者の仮訳としては、一応、以下の訳を推しておきます。

防災(BOSAI):Disaster (Emergency) Management※

※もし文脈が許せば、Disaster emergency managementと併記しておけば、上述のDisaster managementと Emergency managementの両者がカバーできる折衷案になるのかとも思います。

減災(GENSAI):Disaster Risk Control

推す理由は?  頻度とSEO(?)
なお、これを推す理由は、米国もしくは英語圏での一般的な頻度(frequency)と、なんとSEOです(笑)。

減災の英語は?

後者の減災は正式名称はUNSDIRのDisaster Risk Reduction(DDR)などが伝統的に使われてきました。が、英語圏でも使用頻度が少なくなっているようです。(根拠は本日20181118のGoogle Search Results のみ。詳しくは、英文ですがメモしておきましたのでご参照ください。)

以下、それぞれの検討プロセスをめも。

防災の英語の使用頻度(frequency)は?
問題は前者の防災。
使用頻度だけでいうと以下の順。
Emergency Management
Disaster Management
Diaster Emergency Management
※使用頻度の詳細は以下のとおり

Source1
emergency management vs disaster management
source1: Google search results 
Emergency Management
About 738,000,000 results (0.55 seconds)
Disaster management
About 326,000,000 results (0.55 seconds)
Disaster Emergency Management
About 139,000,000 results (0.71 seconds)
Disaster and Emergency Management
About 125,000,000 results (0.62 seconds)
Emergency Management
> Disaster management
> Disaster Emergency Management ★
> Disaster and Emergency Management

よって、私が推す理由としても、単純に、検索結果が一番多いためではありません。

ごくおおざっぱにいえば英語圏の人は
・Emergency Managementというと洪水被害など、
・Disater Manamentというと地震災害など、をイメージするようです。
(根拠は英語版Google Search result, Google Imagesなどで筆者目視w)。

英語版Google Search resultすなわちググった結果でも基本的には防災の英語は英語圏でも諸説あり。ですが、例えば、以下「Emergency Management vs Disaster Management」とググって出てきた検索結果の引用(Source2)などをみると、引用の英文投稿と順序は逆になりますが、「Emergency Management」は「Flood」などの現在進行中の災害など、「Disaster management」は「earthquake」などの災害支援活動など、を差すことが多いようだ、とされています。
Source:2

What is the difference between disaster management and emergency management?

3 Answers
…(2017)
Answered May 21
Disaster management is primarily post the disaster support work in the affected location like an earthquake.

However the Emergency Management is mostly in mostly for an ongoing emergency event like a Flood situation

237 Views · View 1 Upvote


この事例だけで、断定するにはサンプルが少ないので、厳密には他の報道番組(ABC、NBC等)での使用頻度などコーパスの分析が必要にはなるのでしょう。

ただ、いずれにせよ、上記の頻度はいちおう「Emergency management」「Disaster management」…の順。それぞれ、日本語では「防災」や「災害管理」などとも訳され、これも広義では間違いではないですが、筆者が仮訳する場合は、災害対応(Emergency management)、防災活動(Disaster manegement)などと文脈に応じて訳しわけをしたりもします。たが、日本語の「災害対応」と「防災活動」もそれぞれ語義すなわち概念自体もが重なる部分もあり、言葉だけでくっきりと区別は難しいでしょう。英語でも然りで、「Emergency mangement」と「Disaster mangement」もニュアンスの違いもあるけれどもやっぱり重なることもある、というわけで、要は諸説あり。

だいぶくどくなりましたが、そんなわけで結局、防災の英語は使用頻度のみによらず、概念的に最も包括的な訳語となる「Disaster (Emergency) Management」という両論併記的な訳語が比較的無難かな、と考えた次第。

ちなみに専門的な解釈はそれはいろいろあるでしょうからここではふれません。
大事なのは伝わるかどうか。とくに一般の方々に。英語なので具体的には在留外国人やインバウンドで来られている海外のお客様ということになりますが、Disaster (Emergency) Managementとしておけば、防災関連で災害的な事柄だという緊急性は伝わるかと。

ここを軸に判断すると、いわゆる日本語の防災という洪水も地震も合わせたような総合的な概念を伝えるにはこれらのキーワードは欠かせないだろうということで、ここは検索結果の数によらず、合わせ技を採用しては如何、というのが取りあえず筆者の仮訳の理由。

とまあぐだぐだ書きましたが、これだけきっちりした訳語は悩ましいのではやく「BOSAI」で伝わるようになればなあというのが冒頭の私見のとおり一番のホンネ😅

「Risk」が入ると減災ニュアンス?Disaster Risk Management

なお、web検索すると、Disaster Risk Management、という英語を防災の訳語として使っている事例も出てきてますが、どちらかというと英語では減災の意味に受け取られることが多いようです(理由同上)。

実は、昔は私も防災はこの訳語推しでしたので、少々「しまった」という気もしたのですが、どうやらRiskという一語を入れればより防災のニュアンスが伝わるのでは、というのは和製英語的な解釈だったのかもしれません。

個人的には、和製英語でもまあ(割と向こうで気を使って理解に努めようとしてくれたりもするので)そうガチガチでもないのですが。例えば、いまさらプロジェクト名を変更できないなど大人の事情もあるでしょうから、まあそのへんはごにょごにょなんですが。
Google検索結果ではそういう見方もあるようですよ、ということはもしかしたらCPと話をする時などに少し頭の隅にでも置いておいたらよいかもしれません。 

減災:英語 Disaster Risk Control, Disaster Risk Management, Disaster Risk Reduction

減災(げんさい)の英語は「Disaster Risk Control」、「Disaster Risk Management」、「Disaster Risk Reduction」の3つ。
そもそも、減災という言葉自体が防災用語なので、こんなことで悩むのはおそらく防災関連案件のドキュメントを作成されるコンサルさんなど細かい話で恐縮ですが(;^_^A。

結論からいうと、英語圏での頻度では「Disaster Risk Control」が一番多いのでとりあえず一般的な文脈では、減災(英語 Disaster Risc Control)でよいでしょう。

Disaster Risk Control
disaster risk control
About 142,000,000 results (0.63 seconds)

減災の英語で2番目に頻度が多いのは「–Management」。頻度もまあまああるので間違いではありません。(したがって過去ドキュメントの訂正等は不要)。

Disaster Risk Management
disaster risk management
About 97,300,000 results

さて、ちょっと悩ましいのが「Disaster Risk Reduction(DRR)」という業界用語。
こちらはUNISDRのHPにも記載されている用語なのでもちろん公式な英語。
ただし、ここで検証したように、英語圏での使用頻度は他の2つの用語よりは少ない。
もちろん日本でも環境省や外務省の専門用語などは一般的な認知度とズレがある場合もあるのでこれはやむを得ないでしょう。
それはともかく、この「減災(英語 Disaster Risk Reduction(DRR)」という訳語は基本的には国連関係などの文脈で使われる用語だという点は一応押さえておくとよいかもしれません。

Disaster Risk Reduction (DRR)
About 36,100,000 results (0.66 seconds)

Disaster Risk Reduction (DRR) aims to reduce the damage caused by natural hazards like earthquakes, floods, droughts and cyclones, through an ethic of prevention. Disasters often follow natural hazards. A disaster’s severity depends on how much impact a hazard has on society and the environment.
What is Disaster Risk Reduction? – UNISDR
*ttps://www.unisdr.org/who-we-are/what-is-drr


この項をまとめると、

「減災」の英語は、
一般的には「Disaster Risk Control」。

その他の訳語は「減災」という用語を使う文脈またはドキュメントに応じて多少使い分けが必要かもしれません。すなわち、一般ユーザー向けの資料では、基本的に第1案「Disaster Risk Control」で概ね対応できるでしょうが、もし長文レポートの文章内で言い換えたい場合などは、2番目に頻度が多い「Disaster Risk Management」を使う。

第3案「Disaster Risk Reduction (DRR)」はUNISDRなど国連機関向けのレポートなど。

以上、あくまで私案ですが(苦笑)。一応無礼ストーミングのネタまで。

まとめ

本稿の論点を以下にまとめておきます。
まず、主なポイントは2点。
○防災のローマ字表記は2つあるが、定まっていない
○防災の英語は3つあるが、定まっていない

つぎに、それぞれの文言は以下のとおり。
○防災のローマ字的表記2つ:
□BOUSAI(ローマ字)
□BOSAI(国際的名称)

○防災の英語3つ:
□Disaster Management
□Emergency Management
□Disaster Risk Reduction(DDR)

最後に、個人的な意見を付しておきます。
△「防災」という文言の法的根拠は検討の余地あり哉
△「防災」の英語については、日本政府と国際機関との間で、文言固め(Wording)を再確認すべき余地あり哉※
※但し、大幅な慣例の変更を促すものではなく、実務上利用されてきた文言について、相互に補完関係があることを確認する「覚書」(Memorandum of Understanding:MOU)等で差しつかえないものと思料。

あとがき

防災の英語について個人的に調べたことなどをメモしておきました。私見も含みますが、もし、防災の英語について、お調べになるときの補助にでもなれば幸いです。

付言

いずれにせよ、個人的には昔は辞書を頼りに云々唸りながら訳語を捻りだしていたものですが、便利な世の中にGoogle先生がしてくれたので、活用できるところは利用して、迷ったら検索結果が多い方(つまり上記で触れたような言葉の頻度)を調べるという意味でGoogle search resultsを指標にするのも一考かもしれません。そもそも英語版Googleに触れること自体ちょっとマニアックかもしれませんが(苦笑)。Googleの多言語力を利活用するちょっとしたコツをお伝えしたいとも思いここではかなり細かく書いておきました(しまいました💦)。

(日本語の翻訳、もしくは、訳語選定の際に、いわゆるSEOも加味するというアイデアは、わりと、「これからの翻訳での訳語選定の際にはSEO的要素も加味した文言の優先度を考慮すべきでは?」といった、(AIとの差別化で生き残りをかける翻訳業界の)戦略的には、マジメな話にもつながるかもしれません。が、さて、どうでしょうか汗。機会があれば掘り下げてみたい気もします。が、このブログ投稿自体は、休日のお茶の間モードで書いてしまった雑文ですので、この辺にしておきます。)

なお、念のため補記しますが、ここでは「こらむ」として取り上げさせて頂きましたが、無論、防災に真摯に立ち向かう関係者の方々を揶揄する意図はございません。こういう発想もあるかもしれませんね、と少し頭をやわらかくして考えてみた、という意味での雑文「こらむ」ですので、どうぞ悪しからず。

(こらむ)防災 BOSAI bousai の英語 Disaster (Emergency) Management めも

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