新元号令和(れいわ)英語名REIWAの出典は、万葉集の梅花歌(『万葉集』五巻梅花歌三十二首并序)とのこと。
調べた内容を共有したいと存じます。
本日(平成31年4月1日11時42分頃)菅官房長官より新元号が「令和」であることが発表されました。
(前記事参照)
The Japan’s New Era name is “Reiwa” Manyoushu
ここでは、由来となった万葉集の梅花歌について掘り下げてみたいと思います。
出典は万葉集の梅花歌
(写真)梅 平成31年3月撮影 新元号令和
「初春令月、気淑風和」
初春の令月(れいげつ)にして、氣淑く(きよく)風和ぎ(やわらぎ)
「令和」の由来となった万葉集の和歌は?
菅官房長官からあわせて発表された新元号決定の談話によれば、
新元号「令和」の出典は、万葉集の梅の花の和歌に由来するとのこと。
以下は、NHKニュース解説を見ながら、画面に映された資料から筆者が筆写致しました💦
『万葉集』五巻の梅花の歌
(出典)『万葉集』五巻、梅花の歌三十二首并(あわ)せて序
(引用文)「初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」
(参考)NHKニュースの解説
※珮(ハイ) 王(おう)へんに凧(たこ)
※難しい漢字があり、検索に手間取ったので、見出しつけておきます。
漢字変換する時は、ハイで探すとずっと後ろの方にでてきます。珮。
読み方は、
ハイ(音読み)
おびだま(訓読み)※おびもの…という表記も?こちらでは漢字変換は難しいようです。はい。
おびだま。腰に下げるかざりの玉。
(参考)漢字ペディア、珮(ハイ)
以下、可能な範囲で、できるだけ詳しく調べて見ました。
『万葉集』五巻 梅花歌三十二首并序(『万葉集』五巻の梅花の歌)
(参考)国立国会公文書館所蔵資料より
調べ方
国立公文書館デジタルアーカイブ >「万葉集」で検索
検索結果より、万葉集5を閲覧
16ページ目に、こちらに掲載した内容が掲載されていました。
★重要:なお、資料については国立公文書館より閲覧ねがいます。
黒路よしひろ氏『万葉集入門』による解説
(出典)黒路よしひろ, 「梅花(うめのはな)の歌三十二首并せて序」,『万葉集入門』,
※ここでは該当箇所を抜粋させて頂きました。
梅花謌卅二首并序
標訓 梅花の歌三十二首、并せて序天平二年正月十三日、萃于帥老之宅、申宴會也。于時、初春令月、氣淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。
読み方(序訓)
序訓 天平二年正月十三日に、帥の老の宅に萃(あつ)まりて、宴會を申く。時、初春の令月(れいげつ)にして、氣淑(よ)く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かをら)す。
時、初春の令月(れいげつ)にして、氣淑(よ)く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かをら)す。
(出典)ウィキソース
天平2年1月13日 紀男人 福岡の太宰府での梅花宴
以下で目に付いたのは、作者:紀男人 、天平2年1月13日 に、福岡の太宰府での梅花宴で詠まれた、とあります。
天平2年は、西暦では730年とのこと。
[歌番号]05/0815
[題詞]梅花歌卅二首[并序] / 天平二年正月十三日 萃于帥老之宅 申宴會也 于時初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香 加以曙嶺移雲 松掛羅而傾盖 夕岫結霧 鳥封縠而迷林 庭舞新蝶 空歸故鴈 於是盖天坐地 <促>膝飛觴 忘言一室之裏 開衿煙霞之外 淡然自放 快然自足 若非翰苑何以攄情 詩紀落梅之篇 古今何異哉 故而賦之于園梅 聊成短詠也
[原文]武都紀多知 波流能吉多良婆 可久斯許曽 烏梅乎乎<岐>都々 多努之岐乎倍米[大貳紀卿]
[訓読]正月立ち春の来らばかくしこそ梅を招きつつ楽しき終へめ[大貳紀卿]
[仮名]むつきたち はるのきたらば かくしこそ うめををきつつ たのしきをへめ
[左注]なし
[校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 役 -> 促 [矢][京] / 詩 [細](塙) 請 / 利 -> 岐 [紀][細]
[事項]梅花宴 作者:紀男人 琴歌譜 太宰府 福岡 天平2年1月13日 年紀 地名 植物 宴席
[訓異]むつきたち[寛],
はるのきたらば,[寛]はるのきたらは,
かくしこそ[寛],
うめををきつつ,[寛]うめをおりつつ,
たのしきをへめ[寛],
Wikisource, 万葉集/第五巻
市販の『万葉集』ですと、例えば、岩波文庫版では、万葉集(2)に含まれているようです。
商品説明
Amazon, 岩波文庫 商品説明,「BOOK」データベースより
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
銀も金も玉も何せむに優れる宝子にしかめやもー今なお愛される万葉集の歌。親子の情、恋の心、花鳥のあわれ、また機知諧謔。本冊は、大伴旅人・山上憶良らの唐ごころあふれる歌文を収める巻五から、春夏秋冬の順に歌を並べる巻八までの約九百首。全歌、訳・注付。
「初春令月、気淑風和」序訓の読み(私見)
「初春令月、気淑風和」
初春の令月(れいげつ)にして氣淑く(きよく)風和ぎ(かぜやわらぎ)
※蛇足ながら、「風和ぎ(かぜやわらぎ)」を「風和ぎ(かぜやわぎ)」と詠む序訓も語数や語感が良いような気もしましたが…。気のせいかもしれません。実際はやはりかぜやわらぎが正しい読み方のようですね。これは単に万葉集素人の私が感じた語感。というより語呂合わせ?呵々。
あとがき
いかがだったでしょうか。
令和の由来が、万葉集ということで新たな時代の幕開けに相応しい気がしますね。
以下、個人的な感想です。
花にたとえると、なんとなく平成のイメージは桜でした。
由来に梅を選ばれたことを思いますと、陛下のお人柄やお気持ちが想起されます。
桜の平成に敬意を表され、ややつつましい印象もある梅にちなむことで、むりに先を急ぎ過ぎず、たおやかに、新たな時代への意識をお示しになること。
もしかしたら、そんな思いもあるのでは、と想像をふくらませてしまいました。
いずれにしましても、陛下のさまざまなお気持ち、そしてその御心を汲まれた、総理、官房長官はじめ関係者のご尽力に、改めて敬意を感じた次第です。
令和も、よき時代となるよう、一国民としてみなさまと思いを共有させて頂きたいと願っております。
後記
写真の梅はたまたま今年の3月に撮影したものでした。
撮影場所は有名な水戸の梅ではなく栃木です。
ラムサール登録湿地の渡良瀬遊水地近くの栃木県側でひっそり咲いていたところを撮影致しました。