言語めも(言語・言語学関連):ここでは管理人が気になった言語関連の用語などについての個人的メモ(以下「めも」と略)しています。
法(文法的法)とは?
文法における「法(文法的法)」(英語 Grammatical mood)とは、文の「~だ(直説法)」「~ということ(接続法)」などの表現における文法的な叙法(じょほう)のこと。
(出典)英語版wikipedia, Grammatical mood, ウィキペディア、辞書の定義等を参考に筆者まとめ
文法的法(Grammatical mood)の種類
ここではWikipedia等を参考に主なGrammatical moodの用語と英語(英単語)をメモしている。
なお、とりあえず筆者の関心が「この難しい用語なんて訳すの?」という英単語和訳だけなので、詳しい解説までは行き届かないところもある。いずれ機会があれば要約やポイントのみまとめたいとも思うがとりあえずはご興味ある方は参考文献等をご参照いただきたい。
Realis mood
Realis mood
Realis mood(仮訳「現実法」「確定法」レアリス・ムード※)(文法)文法的法のカテゴリー。最も一般的なのは直説法(indicative mood)。
Realis moods
Main article: Realis mood
Realis moods are a category of grammatical moods that indicate that something is actually the case or actually not the case. The most common realis mood is the indicative mood. Some languages have a distinct generic mood for expressing general truths.
https://en.wikipedia.org/wiki/Grammatical_mood#Realis_moods
※筆者注:いきなりカタカナおよび仮訳で申し訳ない。ただ、Realis moodという英語の和訳がネット上を検索し国会図書館サーチまでしてもでてこない。
「Realis」とはラテン語で「本物」という意味。
だが、ここでは英語の文法用語としての対訳を探している。
ラテン語の「本物」という意味を準用して「本物説」などというヘンテコ和訳を書くのももちろん気が引ける。
また、あくまで私訳では「現実法」(または「確定法」)などの私案がうかぶが、あいにくこうした用語が書かれている学術論文などの証拠がでてこない。
しいていえば私見ではおそらく「現実法(Realis mood)」というのが最適な候補かと思う。
ただ、筆者は言語学会等に所属している専門家でもないので、あくまで筆者の私案という意味での仮訳とおことわりさせていただく。
そのため、正確な和訳については言語学会等の専門家のご検討を経たものがいずれネット上に出回ることをきたいして、ここでは仮のカタカナ訳「リアリス・ムード(Realis mood)」のままとした。
※なお、以下「evidential mood 」「Irrealis mood」等についても同様に適切な和約がみつからなかったための仮訳。
直説法(英語 indicative mood)
直説法(英語 indicative mood)、またはエビデンタル・ムード※(英語evidential mood)は、客観的な事実の記述に用いる。
直説法は最も一般的に使用される文法的法。
すべての言語でみられる。
(例)「ジョンはリンゴを食べている」。”John eats apples”.
ある特定の言語で該当する文法的法のカテゴリーがみあたらなないときはたいてい直説法に分類される。
(参考 Source): Indicative (https://en.wikipedia.org/wiki/Grammatical_mood#Indicative)
Irrealis moods
Realis mood(仮訳「非現実法」「不確定法」イレアリス・ムード※)
2.不確定法 Irrealis moods
2.不確定法 Irrealis moods
2.1接続法 2.1 Subjunctive mood
2.2条件付きムード 2.2 Conditional mood
2.3希求法 2.3 Optative mood
2.4命令法 2.4 Imperative mood
2.5ジューシーなムード 2.5 Jussive mood
2.6潜在的な気分 2.6 Potential mood
2.7推定ムード 2.7 Presumptive mood
2.8架空の気分 2.8 Hypothetical mood
2.9推論ムード 2.9 Inferential mood
2.10質問ムード 2.10 Interrogative mood
2.1接続法(Subjunctive mood)
接続法 (subjunctive mood)
2.2条件法(Conditional mood)
2.3希求法 2.3 Optative mood
2.4命令法 2.4 Imperative mood
2.5Jussive mood
《文法》指示形※仮訳 Jussive mood
2.6 Potential mood
(文法)可能法※仮訳 Potential mood
2.7 Presumptive mood
推定法※仮訳 Presumptive mood
2.8 Hypothetical mood
仮説法※仮訳 Hypothetical mood
2.9 Inferential mood
推論法※仮訳 Inferential mood
2.10 Interrogative mood
疑問法※仮訳 Inferential mood
印欧祖語の文法カテゴリー
印欧祖語では,区別されていた文法カテゴリーとその中味は以下の通り.
・ 態 (voice) :能動態 (active) ,中動態 (middle)
・ 法 (mood) :直説法 (indicative) ,接続法 (subjunctive),祈願法 (optative) ,命令法 (imperative)
・ 相・時制 (aspect/tense) :現在 (present) ,無限定過去 (aorist) ,完了 (perfect)
・ 数 (number) :単数 (singular) ,両数 (dual) ,複数 (plural)
・ 人称 (person) :1人称 (first) ,2人称 (second) ,3人称 (third)
(参考)hellog~英語史ブログ3331. 印欧祖語からゲルマン祖語への動詞の文法範疇の再編成
補足
・「法(ほう)」(文法)の英語および和訳について
日本語版ウィキペディアにあるように、従来、言語学では「法(ほう)」という名称が使われてきた。また現在でも言語学の文脈では「法(ほう)」が一般的。
ただ、この「法(ほう)」の英訳については、ウィキペディアの英訳は間違いではないがやや古い。
英語版wikipediaでも以前は「mood(grammar)」という見出し語とされていた。これは最近「Grammatical mood」という表記で統一されている。
(なお、出典をWikipediaとすることについては、英語版wikipediaの参考文献等(Reference)をご覧いただけばわかるとおり、少なくとも一般的な学術論文以上の品質が保たれている。よって、ここで英訳の根拠とする妥当性についてはある程度担保されているかと思われる。)
(ちなみに、上でやむをえず日本語版ウィキペディアの英訳がやや古いことに言及してしまったがこれはウィキペディア批判ではない。たんに技術的な更新についての私見であり他意はない。)
(老婆心ながら、ご承知の方もおられるかとは思うが、英語版wikipediaはNPO団体とはいえ有給専属スタッフを有する巨大組織。たいして日本語版ウィキペディアは無給ボランティア有志の方々によって支えられている。このため、英語版wikipediaとの情報格差が生ずるのはやむを得ないどころか、そもそも英語版がメインであるWikipediaをある程度でも日本語で読めることに感謝したい。)
(参考記事等)hellog~英語史ブログ「言語学における法とはなんですか」等関連記事